2013/03/28

TAKING A CHANCE ON LOVE

"TAKING A CHANCE ON LOVE / HARRY WHITTAKER"
WIRL JAMAICA, 196?



ジャマイカの"Wirl"レーベルからの珍しいジャズインスト。
HARRY WHITTAKER(ハリー・ウィテカー)のクレジットを見て「えっ!?」と思った方いるんじゃないですか?
私もアメリカのピアニストのハリー・ウィテカーだと思ってこのレコードを買いました。
その時の気分としては「え?本当?なんで"Wirl"からレコード出てるんだ??」って感じでした。

その後、調べてみたら全くの別人だと判明。(ちょっとガッカリ)
クレジットのハリー・ウィテカーはガイアナのサックス・プレイヤーで、
この曲を含むLP"SAXFULL OF HARRY "も"Wirl"レーベルから販売されていました。
CD化もされていて海外ですが「Guyana Music Showcase」で購入できるみたいです。

プレイスタイルからレスター・ヤングの影響を感じますね。
明るく、素朴で、遊び心が満載の楽しいインストです。「アイランド・ジャズ」って感じです。
曲自体、とても有名なスタンダード曲なので知ってる方も多いと思います。
もともとはインストではなく、素晴らしい歌詞の付いた歌物です。
エラとビル・ドゲットによるヴォーカル版も、是非、歌詞を追いかけながら聴いてみてください。



2013/03/24

VOLGA BOATMAN


"VOLGA BOATMAN / AHMAD JAMAL TRIO"

available on: Count 'Em 88
ARGO, 1956


50年代シカゴジャズの王道、チェス系の"Argo"からの1枚です。
このレーベルからのジャズ、ブルーズ系のレコードは個人的にも大好物で良いものばかりです。
骨太でブルーズ色の濃いサウンドが好きな人ならピッタリだと思います。
シカゴもニューオリンズと並んでジャマイカ音楽に強い影響を与えているサウンドの街です。
そのシカゴを愛し、地元でのプレイにこだわったアーマッド・ジャマル。

独特な「タメ」と「間」。強弱、緩急の効いたエレガントなピアノタッチ。痺れます。
限りなくシンプルで音数は少ないですが、その音色は非常に感情が豊かで惹きつけられます。
空間を音で埋めるのではなく、音で彩る感じでしょうか。次はどんな音が鳴るのかワクワクしてしまいます。

唯一無二。だれもカバーできないピアニストです。
フレーズも耳慣れたものなので楽しんでいただけるかなと思います。

2013/03/23

ORIENTATION


"ORIENTATION / MAX ROACH SEPTET"
available on: Modern Jazz Hall Of Fame
DEBUT, 1953



チャールズ・ミンガスとマックス・ローチのレーベル"Debut"音源のLP"Modern Jazz Hall Of Fame"から1曲。

このLPは1953年に行われた、Jazz史に残る伝説のジャム・コンサート"Jazz At Massey Hall"のライブ音源とシングル曲で構成されています。
この"Jazz At Massey Hall"のライブ音源というのも非常に臨場感があり、全身で音楽を楽しんでいる雰囲気がビシビシ伝わってきます。

パド・パウエル(ピアノ)とチャールズ・ミンガス(ベース)の2人が、マイティ・スパロウやデタミネーションズのカバーで有名な"Under My Skin"を演奏していたりと素晴らしい内容です。
*チャールズ・ミンガスについてはタカオさんブログもチェック!!

そして本題の"Orientation"です。1953年にシングルカットされたタフなジャズインスト。
カリプソやスカのインストが好きな方なら楽しめる曲だと思います。
マックス・ローチ名義となっていますが実質はハンク・モブレーの作品と言えると思います。
当時、ハンク・モブレーは、なんと22歳!という若さです。

いかにもカリプソのミュージシャンが好みそうな「イントロ」と「アウトロ」。
フレンドリーでキャッチーなテーマからジャム(各パートのアドリブによるソロ)への展開はスカのインストを聴いている方ならお馴染みですね。

そしてそして、チャールズ・ミンガスとマックス・ローチのレーベルというだけあってリズムが最高にスイングしていてかっこいいです。
タフ&タイト。ベースだけ聴いていても、余裕で踊れちゃいますね。ホント素晴らしいです。是非、楽しんでください。

明日も日曜の午後にオススメのジャズを1曲紹介する予定です。

2013/03/20

SUGAR CANE, CABALLITO DE MADERA


"SUGAR CANE / JOHNNY GOMEZ ORCH."
"CABALLITO DE MADERA / FITZ VAUGHAN BRYAN ORCH."
COOK, 1958
available on: ALL NIGHT SESSION



暑さ寒さも彼岸までと言いますが、もうすっかり日本は春なんでしょうか?
ジャマイカも、気が付くとマンゴの実が大きく実っていて、季節の変わりを感じます。
ということで、久しぶりにトリニダッドのCookレーベルのアルバム"All Night Session"から2曲です。

1曲目は、やわらかな春の暖かさを感じられる"Sugar Cane / Johnny Gomez Orch."
2曲目はXavier Cugatのカバーで、メレンゲ風の"Caballito De Madera / Fitz Vaughan Bryan Orch."です。

このLPはハードスリーブなタイプのジャケットは無く、ペラ紙にシルクスクリーンでの印刷になっています。
なかなか味わいのあるジャケットで、オレンジ色の部分は蛍光塗料が使われていたり、ちょっとしたこだわりが感じられ、個人的にもかなり気に入っています。

録音は1958の8月と9月となっています。シングル盤で見かけたことのある曲も収録されているので、編集盤のような感じなんでしょうか?
ハッキリ言って内容は素晴らしいの一言です。このメンバーを見て悪い内容なんて全く想像できませんよね。

2013/03/07

LUMUMBA, CONGO WAR

"LUMUMBA / BONNY & SKITTER"
WIRLDISC, 1961



今回は販促っぽくて恐縮ですが、今週販売する"Lumumba"についてです。
ショップのコメント欄では書ききれないのでこっちで補完します。

一般的には再発盤の表記である"Lumumbo"として知られていますが、実際はオリジナル盤の表記通り"Lumumba"が正しいタイトルです。
"Lumumba"は人名で、コンゴ民主共和国の独立期の指導者で初代首相('61年に暗殺)パトリス・エメリィ・ルムンバ(Patrice Emery Lumumba)から取られています。

私がパトリス・エメリィ・ルムンバの名前を知ったのはロード・ブリナー"Congo War"に興味を持って調べていた時でした。(2番の歌詞に"Patrice Lumumba"と出てきます)

"CONGO WAR / LORD BRYNNER"
C AND N, 1964


それは、ある大物のセレクターさんに"Congo War"の歌詞の内容について質問した際に「この曲はアフリカの事を唄った、俺達にとって特別な曲なんだ」
と私に教えてくれたからです。
今だったらグーグルに「Congo War」と検索すれば解決するような事でも、当時は大変だった思い出があります。
その中でコンゴの歴史やパトリス・エメリィ・ルムンバを知ると同時に、ジャマイカ人のアフリカに対する意識の高さを強く感じたことを覚えています。

マルコムXやキング牧師は知っていてもパトリス・エメリィ・ルムンバを知らない方は多いのではないでしょうか?
おそらく私もジャマイカの音楽と文化の繋がりに興味を持たなかったら今でも知らないままだったと思います。
是非、グーグルで「パトリス・エメリィ・ルムンバ」または「Congo War」と検索して、これらの曲の持つ奥深さを感じ取ってください。