2009/12/10

WILTON "BOGEY" GAYNAIR

"WILTON'S MOOD / WILTON GAYNAIR"
TEMPO, 1959
available on: BLUE BOGEY


1962年にサー・コクソンがジャマイカのトップ・ジャズ・ミュージシャンを集めて制作したアルバム"Jazz Jamaica from the Workshop"をご存知でしょうか?
そのライナーで、先日惜しくも他界したソニー・ブラッドショウ氏が「ジャマイカが失った最も偉大なミュージシャン」の一人として名前を上げられているウィルトン・ゲイナー。

ウィルトン・ゲイナーは1927年、ジャマイカに生まれ、アルファ・ボーイズ・スクールで音楽の基礎を学びます。(ちなみにトミー・マックックと同級で、レイモンド・ハーパーの1コ下)
その後、キングストンを中心にミュージシャンとして活動し、1955年にドイツに移住、1959年にイギリスに渡り、この"Blue Bogey"を発表します。

ジャズファンの間での評価は非常に高く、ソニー・ロリンズと比べられる事が多いですが、自分は最初に聴いたときに、まず思い浮かんだのはトミー・マックックでした。単純には比べられないかもしれませんが、表現がとても近いように思います。

また、このアルバムのオリジナル盤は30万円以上の価格がついていて、コレクターのみが知るアルバムでしたが、昨年めでたく再発されました。

"KINGSTON BY PASS / WILTON GAYNAIR"
TEMPO, 1960
available on: AFRICA CALLING


"Blue Bogey"の翌年にレコーディングされたものの、発売されることなく、数年前にCDのみで発売されたウィルトン・ゲイナーのセカンドアルバムが"Africa Calling"です。
自らのルーツに向き合った、素晴らしいアルバムですがレーベルの消滅で、長いことお蔵入りになっていました。
このブログのタイトルにもなった"Kingston By Pass"是非、聴いてみてください!!

2009/12/04

WALKIN' WITH MR. LEE

"WALKIN' WITH MR. LEE / LEE ALLEN AND HIS BAND"
ANGEL, 1957


石川さんブログのスマイリー・ルイス最高です。
石川さんには良い曲たくさん教えてもらってホント感謝です。

で、自分もニューオリンズR&Bを!
リー・アレンはファッツ・ドミノ、プロフェッサー・ロングヘアをはじめニューオリンズの大物アーティストの大半と共演しているテナーマンです。

そのリー・アレンの代表曲といってもいいのが"Walkin' With Mr. lee"です。ブロウし過ぎず、とても高い技術とやや枯れたサックスが特徴的ですね。

ちなみに、この曲は自分がプレイするときはタイトルが"Walkin' With Mr. B"となりますのでよろしくです。

"PROMENADE / LEE ALLEN AND HIS BAND"
ANGEL, 1957


カップリングはカリビアンテイストが感じられる"Promenade"
思わず手を広げて踊りたくなる、おおらかな世界観をもったインストで、こっちもお気に入りです!

この曲の作者アルビン”レッド”テイラーもニューオリンズの重要ミュージシャンです。

2009/12/01

A LITTLE NUT TREE

"A LITTLE NUT TREE / THE MELODIANS"
GAY FEET, 1967


1967年のクリスマスホリデイ目前で活気溢れるキングストン。しかし、メロディアンズの3人は打ちひしがれた気持ちの中に居たそうです。

コクソン・ドッド、デューク・リードの元での報酬に満足がいかなかったアーティスト達(ケン・ブース、デルロイ・ウィルソン、ゲイラッズ、メロディアンズ)は自分達で"Links"というプロダクションを立ち上げました。「プロデューサーからの搾取からの脱却」の元、夢と希望を胸に抱き、素晴らしい曲をレコーディングしました。

しかし、当時のジャマイカの現実は厳しく、様々な妨害に会い、数曲をレコーディングしたまま"Links"は解体に追い込まれてしまいました。絶望の中、メロディアンズの3人は"Gay Feet"レーベルのオーナーであるミス・ポッティンジャーの元を訪れます。

ミス・ポッティンジャーはそのときの事を「お腹を空かせ、とてもお金に困っていた」と語っています。その様子に同情したミス・ポッティンジャーは「クリスマスを過ごす為の僅かな手助けになれば」と思い、レコーディングの場を提供します。

そして生まれたのが、この曲"A Little Nut Tree"です。ミス・ポッティンジャーが「正にアメージングな体験だった」と語っているように、自分は、どうしたらそのような過酷な状況の中、絶望感を全く感じさせない優しく暖かな素晴らしい曲が唄えるのか不思議でしょうがありません。

この話を聞いて以来、クリスマスが近づくとクリスマスソング同様"A Little Nut Tree"を無性に聴きたくなり、また、レコードを廻す機会があるときは必ずプレイするようになりました。