2009/12/10

WILTON "BOGEY" GAYNAIR

"WILTON'S MOOD / WILTON GAYNAIR"
TEMPO, 1959
available on: BLUE BOGEY


1962年にサー・コクソンがジャマイカのトップ・ジャズ・ミュージシャンを集めて制作したアルバム"Jazz Jamaica from the Workshop"をご存知でしょうか?
そのライナーで、先日惜しくも他界したソニー・ブラッドショウ氏が「ジャマイカが失った最も偉大なミュージシャン」の一人として名前を上げられているウィルトン・ゲイナー。

ウィルトン・ゲイナーは1927年、ジャマイカに生まれ、アルファ・ボーイズ・スクールで音楽の基礎を学びます。(ちなみにトミー・マックックと同級で、レイモンド・ハーパーの1コ下)
その後、キングストンを中心にミュージシャンとして活動し、1955年にドイツに移住、1959年にイギリスに渡り、この"Blue Bogey"を発表します。

ジャズファンの間での評価は非常に高く、ソニー・ロリンズと比べられる事が多いですが、自分は最初に聴いたときに、まず思い浮かんだのはトミー・マックックでした。単純には比べられないかもしれませんが、表現がとても近いように思います。

また、このアルバムのオリジナル盤は30万円以上の価格がついていて、コレクターのみが知るアルバムでしたが、昨年めでたく再発されました。

"KINGSTON BY PASS / WILTON GAYNAIR"
TEMPO, 1960
available on: AFRICA CALLING


"Blue Bogey"の翌年にレコーディングされたものの、発売されることなく、数年前にCDのみで発売されたウィルトン・ゲイナーのセカンドアルバムが"Africa Calling"です。
自らのルーツに向き合った、素晴らしいアルバムですがレーベルの消滅で、長いことお蔵入りになっていました。
このブログのタイトルにもなった"Kingston By Pass"是非、聴いてみてください!!

2009/12/04

WALKIN' WITH MR. LEE

"WALKIN' WITH MR. LEE / LEE ALLEN AND HIS BAND"
ANGEL, 1957


石川さんブログのスマイリー・ルイス最高です。
石川さんには良い曲たくさん教えてもらってホント感謝です。

で、自分もニューオリンズR&Bを!
リー・アレンはファッツ・ドミノ、プロフェッサー・ロングヘアをはじめニューオリンズの大物アーティストの大半と共演しているテナーマンです。

そのリー・アレンの代表曲といってもいいのが"Walkin' With Mr. lee"です。ブロウし過ぎず、とても高い技術とやや枯れたサックスが特徴的ですね。

ちなみに、この曲は自分がプレイするときはタイトルが"Walkin' With Mr. B"となりますのでよろしくです。

"PROMENADE / LEE ALLEN AND HIS BAND"
ANGEL, 1957


カップリングはカリビアンテイストが感じられる"Promenade"
思わず手を広げて踊りたくなる、おおらかな世界観をもったインストで、こっちもお気に入りです!

この曲の作者アルビン”レッド”テイラーもニューオリンズの重要ミュージシャンです。

2009/12/01

A LITTLE NUT TREE

"A LITTLE NUT TREE / THE MELODIANS"
GAY FEET, 1967


1967年のクリスマスホリデイ目前で活気溢れるキングストン。しかし、メロディアンズの3人は打ちひしがれた気持ちの中に居たそうです。

コクソン・ドッド、デューク・リードの元での報酬に満足がいかなかったアーティスト達(ケン・ブース、デルロイ・ウィルソン、ゲイラッズ、メロディアンズ)は自分達で"Links"というプロダクションを立ち上げました。「プロデューサーからの搾取からの脱却」の元、夢と希望を胸に抱き、素晴らしい曲をレコーディングしました。

しかし、当時のジャマイカの現実は厳しく、様々な妨害に会い、数曲をレコーディングしたまま"Links"は解体に追い込まれてしまいました。絶望の中、メロディアンズの3人は"Gay Feet"レーベルのオーナーであるミス・ポッティンジャーの元を訪れます。

ミス・ポッティンジャーはそのときの事を「お腹を空かせ、とてもお金に困っていた」と語っています。その様子に同情したミス・ポッティンジャーは「クリスマスを過ごす為の僅かな手助けになれば」と思い、レコーディングの場を提供します。

そして生まれたのが、この曲"A Little Nut Tree"です。ミス・ポッティンジャーが「正にアメージングな体験だった」と語っているように、自分は、どうしたらそのような過酷な状況の中、絶望感を全く感じさせない優しく暖かな素晴らしい曲が唄えるのか不思議でしょうがありません。

この話を聞いて以来、クリスマスが近づくとクリスマスソング同様"A Little Nut Tree"を無性に聴きたくなり、また、レコードを廻す機会があるときは必ずプレイするようになりました。

2009/10/30

AUTUMN LEAVES

"RAYMOND HARPER / AUTUMN LEAVES"
DOCTOR BIRD, 1967


ショップのレコード買い付けで、しばらく更新出来ないのでマイ・スペシャルを紹介します。
この曲"Autumn Leaves"は、恋愛(失恋)の追憶を季節に重ね合わせたシャンソンの名曲で、母国フランスに留まらず、世界中で愛されるポピュラーミュージックとして広まっています。みなさんご存知でしょうが日本でのタイトルは「枯葉」ですね。

下でも紹介しますが、ジャズでも永遠のスタンダードとして、数多くの名演が残されています。
ジャズにはスタンダードと呼ばれる名曲がいくつも存在しますが、同じ曲でもミュージシャンごとに表現の仕方が異なり、聴き比べるのがジャズの楽しみ方の一つとなっています。

自分はレイモンド・ハーパーが"Autumn leaves"を演奏している事を知らなかったので、このレコードを見つけた時の衝撃と嬉しさは相当のものでした。演奏も素晴らしく、抑制を効かせつつも感情豊かな表現は、さすがレイモンド・ハーパーですね。大好きな曲を大好きなアーティストが演奏している悦びは何年たっても変わらないと思います!!

"CHET BAKER & PAUL DESMOND / AUTUMN LEAVES"
EPIC, 1974

ウェスト・コーストを代表するミュージシャン2人による美しい演奏です。
チェット・ベイカーは50年代に一世を風靡するものの、ドラッグ絡みで刑務所に入り、1968年には、またしてもドラックが原因で暴漢に襲われ、前歯を全て折られてしまい演奏が出来なくなるなど、破天荒な人生を歩んだ人です。
このポール・デスモンドとの"Autumn Leaves"は音楽業界に復帰した1974年のものです。


"CANNONBALL ADDERLEY & MILES DAVIS / AUTUMN LEAVES"
BLUE NOTE, 1958

契約の関係でキャノンボール・アダレイ名義となっていますが、マイルス・デイビスがブルーノートに残した最高傑作"Somethin' Else"に収められている"Autumn Leaves"です。
マイルスにしか表現できない絶妙な間と美しさです。ただただ美しい演奏です。

2009/10/19

NATIONAL HEROES DAY

今日ジャマイカはナショナル・ヒーローズ・デイです。

上の画像は、個人的に思い入れのある英雄たちが使われているジャマイカのお札です。一番下のja$50のみ現在も流通しています。一番上のポール・ボーグルはスカファンならRoland Alphonso / Return of Paul Bogleで名前はご存知かと思います。

前やっていたサイトで、ジャマイカの国民的英雄をテーマにした物があるので、興味のある方は読んでみてください。

ジャマイカの国民的英雄はこの人達です。
(独立記念日と同様、自分がジャマイカに住んでいたときに書いた数年前のものなので、ボブ云々の件は無視してください。)

下はマーカス・ガーベイの声が聴ける1921年のスピーチです。



2009/10/13

BEYOND

"LORD CREATOR & ENID / BEYOND"
COXSONE, 1963


先日紹介した"Sauvitt"が収録されているアルバム"Dance Hall 63"は当時のサウンド・システムの雰囲気を味わえ、選曲もサウンド・システムを盛り上げた曲ばかりの素晴らしいアルバムです。

自分も大好きな曲ばかりでシングル盤でも集めているのですが、とりわけ大好きな曲が、この"Beyond"です。

Lord Creatorらしい女性心を掴んで離さないドラマチックな歌詞にメロメロです。自分はこのLord Creatorともう一人Derrick Morganのドラマのようなロマンティックな世界がたまらなく好きです。自分がレコードを廻すときも少しでも伝わるようにしたいと思ってプレイしています。

2009/10/11

SUAVITO

"JOHNNY PACHECO / SUAVITO"
ALEGRE, 1963


Tommy McCook & The Skatalitesで有名な"Suavito"です。
スカファンのみならず非常に現場受けの良い曲なので、みなさんご存知かと思いますが、ジャマイカではTommy McCookのヴァージョンも、下で紹介しているMongo Santamariaのヴァージョンもほとんど聴きません。

このオリジナルであるJohnny Pachecoの"Suavito"をオリジナル・サウンドマン、ヴィンテージ・コレクターが「どうだ!!」とばかりにプレイします。
この曲はコレクター連中の間では「スペシャル」の存在で、アーティストやレーベルも隠して教えてもらえず、自分も見つけるまでにとても時間がかかりました。

日本のヴィンテージ・ファンには理解できないかもしれませんが、ジャマイカではBig People Musicと呼ばれ最高に盛り上がる1曲です。

日本ではJammers Recordのジャマイカ人セレクター"Double-H"がプレイしてるのを聴いて「やっぱ"Suavito"はこのヴァージョンだよな!」と2人で盛り上がりました。
"MONGO SANTAMARIA / SUAVITO"
BATTLE, 1963


こちらがMongo Santamariaのヴァージョン。大胆なアレンジがされていてTommy McCookのヴァージョンの元になったのがよく解ります。

"TOMMY McCOOK / SAUVITT"
COXSONE, 1964


これがジャマイカのトップミュージシャンによる皆さん大好きなヴァージョンです。上から順番に聴いていくとJohnny PachecoからSkatalitesへの流れに納得ですね。

2009/10/01

TAKE ME BACK

"TAKE ME BACK / SLIM SMITH"
BUNNY LEE, 1972


大好きなSlim Smithですが、レゲエを聴きはじめの頃は少し苦手なアーティストでした。今となっては何故苦手だったのか全く解らないのですが、キチンと聴きこんでなかったんでしょうね。

この曲もシンプルな演奏で派手さは無いのですが、そこがSlim Smithの歌声を引き立てていると思います。歌詞がまた切なくて、現場でプレイしていても思わず感情移入して熱くなってしまいます。

"TAKE ME BACK / OWEN BOYCE"
COXSONE, 1965


こちらはコクソンからの同曲です。Slim Smithのヴァージョンより、ずいぶん後に知ったのですが聴いた瞬間気に入ってしまいました。バックはJackie Mittooを中心としたSoul Brothersですが、スタジオ・ワンの硬くメリハリのきいたサウンドは素晴らしいの一言です。

唄っているOwen Boyceはレコーディングも少なく(バラードが多いです)話題にも上らないアーティストですが声が綺麗で引き込まれます。

そして、こちらがオリジナルです。

2009/09/27

JERK IN TIME

"JERK IN TIME / THE WAILERS"
COXSONE, 1965


しばらく買い付けでジャマイカに行っていたので、話題に乗り遅れてしまいましたが、今月の25日、仙台にカリビアンフードが食べられる素敵なカフェがオープンしました!!

その名も"Jerk in Time"

〒980-0011
宮城県仙台市青葉区上杉1-7-7(市役所裏の、仙台ビジネスホテル向かい)
tel: 022-721-6915
営業時間が午前11時半~午後23時ラストオーダーとなっているようです。

ジャークチキンがとても美味しいとの事ですので、はやく遊びにいきたいなと思っています。

2009/08/24

REAL GONE LOVER

"REAL GONE LOVER / SMILEY LEWIS"
IMPERIAL, 1955


Fats DominoProfessor Longhairと並ぶニューオリンズ・ブルースの重要人物Smiley Lewis。
ジャマイカのサウンドシステム・クラッシックスとして、今だにコレクター系のイベントでは人気の曲です。

曲として本当にカッコよくって大好きなんですが、「これぞニューオリンズ!!」と感じる、弾けたピアノを聴いているとワクワクして体が動き出します。
また、ピアノに負けない太く、張りのあるヴォーカル、途中のテナーソロも最高です。
石川さんにサウンドシステムでプレイしてもらいたいです。

下の曲は"Real Gone Lover"のすぐ後に録音され、R&Bチャート第2位となった彼の最大のヒット曲"I Hear You Knocking"です。後にFats Dominoもカバーしています。

2009/08/18

CHEROKEE


"CHEROKEE / COUNT BASIE ORCHESTRA"

Count Basie楽団の大番頭と呼ばれ、豪快なキャラクターで愛されたEddie "Lockjaw" Davisのライブ映像です。
「顔もデカイが音もデカイ。そして態度はもっとデカイ!」と言われた"Lockjaw"Davisですが、クセ者ばかりの大所帯であるCount Basie楽団をまとめ上げ、第2次黄金期を作り上げたリーダーシップは高く評価されています。

スリリングなオーケストラの演奏が"Lockjaw"Davisのテナーを後押ししていて、素晴らしいスウィング感です。"Lockjaw"Davisの顔がまたかっこいいですね。"Lockjaw"は彼の「デカイ顎」から付けられたあだ名ですが、本当デカイです!

おまけ。Rufus "Speedy" Jonesの神業ドラム!!必見!!Wicked!!

2009/08/14

AND THIS IS MY BELCVED, LET TRUE LOVE BEGIN

"AND THIS IS MY BELCVED / CLARENCE CURVAN ORCHESTRA"
COOK, 1962


個人的にとてもお気に入りのカリプソ・インストです。
まず、注目してもらいたいのが素晴らしいギターです。カリプソではギターが効果的に使われている曲が多いのですが、Clarence Curvan Orchestraの楽曲は特にギターがメインの曲が多いです。

この「間」そして「溜め」に聞き覚えがありませんか?
Lynn Taittのギター・スタイルと多くの部分が共通していると思います。Lynn Taittはご存知の通りトリニダッドの出身なので当然と言えば当然なのですが、こうやってカリプソのギターを聴くと「このギターがロックステディになったんだな」とつくづく感じます。

自分はスカやロックステディからカリプソを聴き始めたので、そう感じるのですが、カリプソからスカ、ロックステディを聴くと、逆に感じるのでしょうね。
ブルース、ジャズとの関係にも言えますが「音楽は、常に文化の交流を繰り返し進化していくんだな」と確認させてくれます。

"LET TRUE LOVE BEGIN / CLARENCE CURVAN ORCHESTRA"
COOK, 1962


こちらが本来のA面です。Clarence Curvan Orchestraらしい美しいロマンティックなインストです。
両面素晴らしい曲なので、現場プレイする時は他のClarence Curvan Orchestraと合わせ、両面使いします。

2009/08/10

MIGHTY LIKE A ROSE

"MIGHTY LIKE A ROSE / EDDIE HARRIS"
VEE JAY, 1961


シカゴのテナー奏者Eddie Harrisは、当時主流だった「豪快で直線的」のイメージとは違い、優しく(悪く言えば軽い)メロディアスなテナーが持ち味です。その後、ソウル・ジャズの流行がありますが、当時は「いわゆるジャズの王道」とは外れたミュージシャンとの見方が強かったようです。

ただ、なぜかジャマイカでは人気があり(ジャマイカ人はしっとりとした甘いメロディも好きだからだと思いますが)自分も随分イベント等で聴きました。
"MIGHTY ROSE / RAYMOND HARPER"
PRINCE BUSTER, 1963


大好きなRaymond Harperによるスカ・ヴァージョンです。同じプリンス・バスター・レーベルの"African Blood"と並び、彼の代表作ですのでお馴染みかと思います。こちらで紹介した"Tippin' In"とのカップリングです。

アルト・サックスはLester Starling、テナー・サックスはVal Bennettではないかと思いますが、素晴らしいコンビネーションを見せてくれます。そして強力なリズムの要には"Drumbago"ことArkland Parksがいます。

2009/08/06

JOYBELLS FOR INDEPENDENCE

"JOYBELLS FOR INDEPENDENCE / RYTHM ACES"
COXSONE, 1962


今日8月6日はジャマイカの独立記念日です。

ジャマイカの独立については、以前運営していたサイトで書いていますので興味がある方は是非読んでみてください。(10年近く前、ジャマイカで生活していた時期に書いた記事です。乱筆、乱文ではありますがご了承ください)

Jamaica Independence Day


さて、この曲ですがCoxsone産のインディペンデンス・ソングです。「独立の鐘の元での団結と幸福」が唄われています。1962年といえばサー・コクソンのサウンド・システム"Down Beat"が絶頂期だった時代です。"Down Beat"のスピーカーから毎晩、この曲が流れていたのでしょうね。

ジャマイカの音楽はいつでもジャマイカの文化と繋がっています。自分はブログを通じて、そこの部分を大事に伝えていきたいと思います。

2009/08/03

DESTINY

"DESTINY / THE WAILERS"
COXSONE, 1964


My Long Time Bredrenがパパになりました!!
本当におめでとう。この曲を贈ります。

2009/07/29

EXOTIC TOUCH OF HOT SKIN

"EXOTIC TOUCH OF HOT SKIN / DENNIS ALCAPONE"
KIETH HUDSON, 1972


Kieth Hudsonといえばルーツやダブのイメージがあると思いますが、是非聴いてもらいたいのがこの曲です。バックは完全にロックステディです。

とても緩やかで温かみのあるリディムに、Dennis Alcaponeが伸び伸びと、気持ち良さそうに言葉を乗せています。
この曲にはAl Brown / Alwaysという歌物ヴァージョンもあり、それも最高の曲です。レコードを探してるのですが、まだ手に入れられていません。

Kieth Hudsonはこの曲のようにロックステディのリディムを使った曲を何曲か残しているのですが、すべてが素晴らしい曲ばかりです。
しかも、リディムのほとんどがKirl Bryanのプロダクションである"Olympic"レーベルの物を使用しています。(この曲もおそらく"Olympic"レーベルの物だと思いますが確認はされていません。)

この曲で唄われているように「Sound is Good!, Love is Good! Mi Feel Irie!」と感じさせてくれる曲です。

2009/07/26

THOSE TEARDROPS

"ERIC MORRIS / THOSE TEARDROPS"
PRINCE BUSTER, 1964


大好きなEric Morrisによる泣きのバラード。考えてみると、この人のバラードって少ないですよね。ロマンチックでストーリー性のある、素晴らしい曲を唄うアーティストだと思います。

日本では現場でバラードを廻すと「シーン」としてしまいますが、ジャマイカでは絶対に必要なセグメントです。ジャマイカでヴィンテージを廻すときは、いかに「爺さん婆さんを喜ばせるか」というのは大事なポイントです。(また、そう教えられました)
自分が廻すバラードで、結婚して数十年経っている老夫婦がチークを踊っているのを見るのは最高の喜びでもあります。自分もよく太った婆さんに「お前、私と踊れ」と言われて踊っていました。

ダンスホールでワイニーするのも楽しいですが、是非、カップルや夫婦で現場に遊びに来て、日常を忘れ、二人の時間を楽しんでもらいたいです。

2009/07/24

RECADO BOSSA NOVA



"HANK MOBLEY / RECADO BOSSA NOVA"
BLUE NOTE, 1965

以前、現場仕事をしていた時に1日の始まりにヘッドフォンのヴォリュームを最高にして聴いていた曲です。ジャマイカで聴いても、クラブで自分で廻してるのを聴いても、この曲を聴くと元気になれます。

ハンク・モブレーはテナー奏者としてマイルス・デイビスの楽団に参加していたのですが、同じ時期にソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンも参加していた為、この二人に比べられる事が多く、不当に低い評価を受けている気がします。
ですが、ブルー・ノートを中心とした作品を聴いてみれば解りますが、「黒い音」が好きな人には大変魅力的なミュージシャンです。また、この曲にも参加しているトランペット奏者リー・モーガンとの相性は抜群です。

スカやロックステディが好きな人なら「楽しい曲だな」と思ってもらえると思います。

2009/07/22

ST. THOMAS

"SONNY ROLLINS / ST. THOMAS"
PRESTIGE, 1956


とても有名な曲なので、ちょっと検索すれば色々でてきますし、特に解説の必要も無いと思いますが、Sonny Rollinsは両親がヴァージン諸島の生まれで(いわゆるカリブ移民)、子供の頃から親しんでいたカリプソをこの曲のテーマにした事はあまりにも有名です。(他にもカリプソを何曲も演奏しています)

豪快で、明るく楽しいテナー・スタイルはジャマイカでも大人気ですが、この時代のテナー奏者に大変な影響を与えています。
Tommy McCookやRoland Alphonsoなどのジャマイカのミュージシャンも、聴いただけで影響を受けているのが解ります。

"CHARLIE RODRIGUEZ / HELLO JOE"
詳細不明


プエルトリコのビッグ・バンドによるヴォーカル入りカリプソ・ヴァージョンです。結構ジャズっぽくてカッコイイです。この歌詞がオリジナルなのかは不明ですが、プエルトリコはセント・トーマス島のあるヴァージン諸島に隣接しているので可能性は高いのではないでしょうか。

"BYRON LEE & THE DRAGONAIRES / SUNJET JUMP UP"
BYRON LEE, 1965


ジャマイカのお祭り楽団Byron Lee & The Dragonairesによるカリプソ・ヴァージョンも単純に楽しくて嫌いではありません。

このバンドのミュージシャン達はかなりの実力派揃いなんですが、この曲に関しては難しい事をせずに解り易く演奏しています。

"BABA BROOKS ORCH / MUSICAL COMMUNION"
DUKE RIED, 1962


Baba Brooksによるスカ・ヴァージョンでは、ややゆっくりとしたテンポで、ホーンはゆったりとしていますがリズムはオーセンティック・スカらしくタイトになっています。曲の途中にメントのフレーズを使っている所も温かい雰囲気をかんじます。

個人的にはBaba Brooksのメントやカリプソを使った曲は大好きでこれからも紹介したいと思っています。

2009/07/05

FREEDOM SOUNDS

"FREEDOM SOUNDS / TOMMY McCOOK"
COXSONE, 1963


大好きなインスト・スカ。The Skatalites名義のアルバム"Ska Authentic"のオリジナル盤に収録されています。(このアルバムは、1967年イギリスで発売される際に、収録曲が変わってしまい現在に至ります。)
スカはジャマイカ最初のナショナル・サウンドです。当時のジャマイカ最高のミュージシャン達が自信満々にプレイする姿を想像して楽しんでください。

話は変わりますが、明日からレコードの買い付けで、ジャマイカに行ってきます。
もう、何回行ったかも覚えていませんが、好きで好きで堪らない島。
キューバやトリニダッドにも行ってみたいと思いつつ、有り金の全てがレコードになってしまい、思いは未だ果たせません。

一度は、帰りのチケットを破り捨て(元々そのつもりで行ったのですが…)、「もう、日本には帰らない」なんて事もありました。
いつでも、腹が立つ事、つらい事の方が多いのに、数少ない嬉しい事、楽しい事が強烈すぎて忘れられない所です。

"Jamaica is Sweet Island"ジャマイカ人がよく使う言葉ですが、「正に、その通り!!」

2009/07/04

FLYING HOME

"FLYING HOME / LIONEL HAMPTON ORCH"
DECCA, 1942


スウィング・ジャズの巨匠、Lionel Hamptonの代表曲とも言える「Flying Home」ですが、この曲を「ジャズ、ブルースからロックン・ロール、スカ」ファンにまで有名にしたのは、曲中のIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)によるテナー・ソロです。

この「Flying Home」のIllinois Jacquetは”最初のホンカー・スタイル(ブットいテナーをブロウしまくるスタイル)”と呼ばれ、音楽界に大きな衝撃を与えました。
それまでは、脇役と考えられていたテナー・サックスですが、Coleman Hawkins、Lester Youngの活躍によって主役を張れる楽器として認知され、Illinois Jacquetによって「あこがれ」の楽器となったのです。

先日紹介したWillis Jacksonや、「狂気のテナー奏者」Big Jay McNeelyからDexter Gordon、Sonny Rollinsなどなど、数え切れないテナー奏者に信奉されている偉大なミュージシャンです。
しり上がりに、熱くなるブロウですので、是非、最後まで聴いてみてください。

2009/07/02

BANANA SPIRIT, SKIP'S BOOGIE

"BANANA SPIRIT / KID KING'S COMBO"
EXCELLO, 1953


ナッシュビルの独立系R&Bレーベル"Excello"からのタフなブルース・インスト。
テネシー州ナッシュビルは、メンフィスの東側に位置するブルースの街。
"Excello"レーベルは独立系ながらブルース・ファンには「名門」とされていて、人気があります。

Kid King's ComboはドラムのKid King、ピアノのSkippy Brooksを中心とした"Excello"レーベルのバッキング・バンドで、この「Banana Spirit」がレーベル初のインスト曲。

ジャマイカでも50年代のサウンド・システムでは大変人気が高かったようです。
当時のサウンド・システムでの活躍を物語るように、レーベル全体が削られていて、アーティストやレーベルなどが解らなくなっています。

"SKIP'S BOOGIE / KID KING'S COMBO"
EXCELLO, 1953


このレコードはB面も、同グループのピアノ奏者Skippy Brooksの名前をタイトルに冠したインストで、A面に負けない位タフな曲です。

ブギ・ウギ調のピアノが見せ場を作り、太いサックスが入ってくる所なんか最高です。
自分もダンスの雰囲気によって、両サイドを使い分けています。

2009/06/28

EVERY NIGHT

"EVERY NIGHT / JOE WHITE & CHUCK JOSEPH"
GAY FEET, 1965


Sonia Pottingerの最初のプロデュース作品「Every Night」です。この曲は彼女自身、一番のお気に入りの曲でもあり、"Gay Feet"レーベル最大のヒット曲でもあります。

忘れられない女性を想い「毎晩、ベッドに入るのは、夢で貴方に会う為」と唄われる、とても切なく、共感できる歌詞に、Baba Brooks Bandによる、抑制の効いた演奏が素晴らしい曲に仕上がっています。

"TODAS LAS NOCHES (EVERY NIGHT) / CARLOS CORTES"
GAY FEET, 1965


「Every Night」のスパニッシュ・ヴァージョン。
前面にフューチャーされた、Lynn Taittによる美しい「泣き」のギターに心が打たれます。曲が終わった後も「しんみり」余韻に浸れる素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

2009/06/27

WHITER SHADE OF PARL

"WHITER SHADE OF PARL / ANDRE TANKER & HIS BAND"
ATMAN, 1967


様々な年代、ジャンルでカバーされている名曲です。Barbadosのカリプソ・バンドによるカバーですが、マンボ的なアプローチが、とてもマッチしていると思います。
ホーンとヴィブラフォンのコンビネーションも素晴らしく、ワクワクさせてくれる展開にはまります。

オリジナルは歌詞の付いたヴォーカル曲ですが、メロディの良さが強調されたインストが、個人的には好みです。(歌詞が難解で、自分には理解出来ないのが原因かもしれませんが…)

U.K ロック・バンドによる、オリジナル・ヴァージョン。
"WHITER SHADE OF PARL / PROCOL HARUM"
DREAM, 1967


ジャマイカでも、Jackie Mittoo、Roland Alphonsoがカバーしています。
"WHITER SHADE OF PARL / JACKIE MITTOO"
COXSONE, 1967


2009/06/24

CALLING SOUL

"CALLING SOUL / THE CARIBEATS"
J.J JOHNSON, 1967


人前でレコードを廻すセレクターならば、「この曲は、どのセレクターよりも格好よく聴かせたい」と思う曲が、何曲かあると思います。(もちろん、全てのレコードがそうなんですが、「特別に」という意味です)

今回、紹介する「Calling Soul」は自分にとって、「どのセレクターよりも格好よく聴かせたい」スペシャルな1曲です。

The Carib Beatsによるブリリアントなインスト・ロックステディで、ラテン風のリズムに、Bobby Ellisによるロング・トーンのトランペットが、スケールの大きな広がりと、スピリチュアルな世界を感じさせてくれます。

この1曲で空気を「ガラッ」と変える強さ、美しさがある曲です。

2009/06/23

TIPPIN' IN

"TIPPIN' IN / ERSKINE HAWKINS ORCH"
RCA VICTOR, 1945


トランペット奏者、バンド・コンポーサーErskine Hawkinsのビッグ・バンドによる「Tippin' In」です。

1945年の作品で、当時のダンスミュージックの主流であったスウィング・ジャズですが、どこかブルースの雰囲気を感じさせるインスト・ナンバー。

作曲は、この楽団でアルト・サックスを担当しているBobby Smithによるもので、彼名義でもCDなどに多数記録されています。

ジャマイカでは、大好きなRaymond Harperがカバーしています。
ドラムの"Drumbago"ことArkland Parks得意の、ブルース調のタフなリズムですが、Raymond Harperのトランペットは、意外と原曲に忠実なのが解ります。

"RAYMOND HARPER / TIPPIN' IN"
PRINCE BUSTER, 1962

2009/06/22

GATOR TAIL PART 1

"GATOR TAIL PART 1 / COOTIE WILLIAMS ORCH"
MERCURY, 1949


最初の曲紹介は、やっぱこれです。石川さんのブログを読んでる方や、ベース・カルチャーを読んだ方ならタイトルで「ピン」とくるはずです。

”ジャマイカでは「Coxson's Hop」のタイトルで、長く"Sir Coxson's Down Beat"のスペシャル・チューンだった曲です。”以下の分に訂正

ジャマイカでは「Coxson's Hop」のタイトルで、長く"Sir Coxson's Down Beat"のスペシャル・チューンだった曲「Later For The Gator」の元になった曲です。

Jazz、Bluesのトランペット奏者Cootie Williamsが、1949年3月、当時16才だった若きテナー奏者Willis Jacksonを起用し、大ヒットした強烈なBluesナンバー。(Willis Jacksonのニックネーム"Gator Tail"はこの曲のヒットからきています)

野太く、単音をブロウしまくるスタイルは、Willis JacksonのヒーローであったIllinois Jacquetの影響によるものです。

とにかく、タフな演奏で50年代のサウンド・システムを感じる曲です。